スーパーで日頃買うものといえば、野菜や肉、魚など生鮮品が多いと思います。なかでも栄養価が多い野菜はできるだけ安全で、安いものを選びたいものですが、普通に手に取っている野菜の中に、不自然なものがたくさん出回っていることをご存知でしょうか? 「国産だから安心」とは限りません。今回は、どんな野菜を選んだらいいか考えてみましょう。
日本の食品は、安心で安全なイメージがあります。でも驚くことに、日本の農作物は世界でも多くの農薬を使用しているのをご存知ですか?
FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、日本の農薬使用量は2017年時点では農地1haあたり11.8㎏で、世界で5番目の農薬大国とされています。さらにここ数十年で、行政が多数の農産物の農薬使用基準を緩和したことで、昔以上に農薬が多く使用されているのが現状です。厚生労働省は健康への影響を否定していますが、背景には消費者が虫食い痕やキズのない野菜を求めるため、農家もそれに合わせて農薬を使うことなどがあるようです。
例えば2013年には、殺虫剤として使われる「ネオニコチノイド系の農薬」の残留基準値が多くの野菜で緩和されています。三つ葉はもともとの基準の1000倍、カブは2000倍と大幅に変更されています。他にも、除草剤として撒かれている「グリホサート」は、2017年に残留農薬の基準値を最大400倍にまで緩和しています。
農薬の健康被害は種類によってさまざまですが、発癌性や神経障害、免疫毒性、ホルモン異常などの危険性が指摘されています。
残留農薬の被害を避けるためにも、できればオーガニック野菜をスタンダードにしたいものです。が、オーガニック野菜は街のスーパーでは、まだ種類が少ないし、金額も高いのが現状です。なぜもっと身近な野菜として普及しないのでしょうか?
要因はいつくかありますが、一つは「姿、形の綺麗な野菜が当たり前になった」ことがあげられます。大きさの違う野菜は料理に使いにくいし、虫などがついていればもちろん買われません。本来、自然のものである野菜はそうあるべきなのですが、どうしても安全性より見た目のきれいさや便利さの方が優ってしまいます。
スーパーなどでは、野菜の種類の指定や選別、定貫(同じ量の商品)が当たり前になっているため、生産者もそれに合わせざるを得ません。オーガニックの野菜を卸そうと思っても、自然に育ったものの形や色、量を合わせることはとても困難で、仮にその作業をしても人件費やロスが出てくるため、高額になってしまいます。最近は、姿、形が多少いびつでも安くて安心なオーガニック野菜を扱うお店を見かけますが、消費者側が、できるだけ農薬にまみれていない商品を選ぶ意識をもつことも大切になります。
野菜を選ぶときまず避けたいのはカット野菜です。農薬もそうですが、pH調整剤や殺菌剤などの添加物を使用しているケースも多いため注意が必要です。近年では、無選別、無指定、不定貫の野菜の宅配サービスが増え始めています。安全な旬の野菜をセットで届けてくれるこれらのサービスは、スーパーなどのオーガニックコーナーよりも比較的やすく買えます。
もしスーパーなどで野菜を買うときは、その野菜がどう育ったかを見極めることが大切です。代表的な栽培方法として「有機栽培」「特別栽培(特別栽培農産物)」「慣行栽培」があります。有機栽培は、化学系の農薬や肥料、土壌改良材をあまり使用しないで作っているようです。特別栽培は、いわゆる減農薬野菜。有機栽培や特別栽培などの表示がない農作物は慣行栽培(農薬や化学肥料を使った栽培)になります。なるべく有機栽培や特別栽培の表示があるものを選び、もし慣行栽培の野菜を食べるときは、しっかり洗って皮を剥いて食べるのが良いでしょう。
また、オーガニックの野菜や植物には農薬成分を分解する酵素や植物栄養素が豊富に含まれています。安心できる野菜選びと、植物の力によるデトックス(解毒)が、私たちの健康を守る上でとても大切なことだと言えると思います。