LINEアイコン
Youtubeアイコン
facebookアイコン
instagramアイコン
Seminer

インフルエンザが流行?感染リスクは栄養で抑える!

インフルエンザが全国的に猛威を振るっており、全国各地の学校や幼稚園は学級閉鎖が相次いでいます。厚生労働省は12月の段階で早くも警報レベルに突入したことを発表。過去10年で最も早い時期に警報レベルに達したことが話題となり、感染症対策が強く呼び掛けられています。今回はインフルエンザをはじめとするウイルス性感染症の予防ポイントを食と栄養の観点からご紹介します。

タンパク質で土台作り

インフルエンザは一般的に、ウイルスが鼻や口などの粘膜から体内に侵入することで感染します。感染してから発熱などの症状が出るまでの期間(潜伏期間) は1〜5日程度とされており、その間に体内でウイルスが増殖して勢力を増していきます。

日常生活で無数に存在するウイルスを物理的に100%回避することはできませんが、同じ空間にいても発症する人としない人がいることも事実です。発症するか否かは「ウイルスに対して免疫機能が正常に機能しているか」が関係しています。

身体の免疫機能の主役は、血中にある白血球と呼ばれる免疫細胞です。白血球にはマクロファージやT細胞、B細胞、NK細胞、好中球などがあり、それぞれが協力し合ってウイルスなどの異物を排除します。これらの免疫細胞が正常に機能していれば、たとえウイルスが侵入したとしても症状が悪化することはありません。

免疫機能を高めるには、身体の栄養状態を見直すことが近道です。まずはじめは「タンパク質」です。タンパク質は私たちの体において水分の次に多いとても重要な栄養素です。臓器や筋肉、骨といった土台部分を担う栄養素であり、免疫細胞そのものも全てタンパク質をもとに作られています。

免疫細胞は様々な種類のウイルスや細菌などに対応するために、細胞同士で情報交換をしています。その情報伝達物質(サイトカイン) や、そこで作り出される抗体(免疫グログリン) もタンパク質の一種です。そのため毎日の食事や栄養摂取でタンパク質が不足してしまうと、免疫細胞を作り出すことができずウイルスに対する抵抗力が落ちてしまうのです。

抗ウイルスには油

感染症予防において、次に味方につけたい栄養素は「脂質」です。脂質は種類が様々でそれぞれ体内での働きが異なるため、摂取バランスや品質選びを誤るとかえって身体の負担になるため注意が必要です。

感染症予防におすすめなのが「中鎖脂肪酸」と呼ばれる種類の油です。中鎖脂肪酸のカプリル酸やカプリン酸、ラウリン酸などは、細菌の細胞膜やウイルスの外膜を破壊し不活化させることが知られています。

ラウリン酸は母乳にも含まれており、病原菌やウイルスに対する免疫力が培われていない赤ちゃんの身体を守る「天然の抗菌・抗ウイルス成分」と言われています。ココナッツオイルには、ラウリン酸をはじめとする中鎖脂肪酸が多く含まれているため、この時期は特に感染症予防に摂取しておきたい油です。

必須のミネラル&ビタミン

最後に忘れてはいけないのがミネラルとビタミンです。いくら良質なタンパク質や脂質を摂っても、ミネラルやビタミンなしでは身体で代謝させることができません。「栄養はチームで働く」という言葉の通り、複数種類のミネラルとビタミンを過不足なく補給することで、はじめて万全な感染対策ができます。

中でも「ミネラル」は免疫機能に大きく関わると言われています。免疫機能には多数のミネラルが関わっていますが、例えば「亜鉛」は自然免疫と獲得免疫の両方に関わる重要なミネラルです。自然免疫であるマクロファージや好中球、NK細胞の生成に必須で、免疫細胞が病原体を認識するための情報伝達や抗体の生成にも密接に関わっているとされています。

また自然免疫の低下の原因として「鉄不足」があります。好中球が病原体を排除する時に必要な酵素は鉄がなければ機能しません。さらに、鉄が不足していると免疫機能の司令塔とも言える「T細胞」の減少にもつながる(※1)こともわかっています。

感染症予防や免疫アップの観点では、ビタミンCも重要な栄養素です。好中球やリンパ球、マクロファージなどの免疫細胞の生産をサポートし、細胞の活動機能を高めることが知られています。 ( 出典元:OregonState University 日本微量栄養素情報センター 「健康と免疫」より)

また、前述した免疫細胞同士の情報伝達物質を作るためにはタンパク質だけではなくビタミンCやミネラルも必要です。ビタミンC・ミネラルは、必要量が多いにもかかわらず体内で作ることができないため、食事やサプリメントで定期的に補給することが大切です。

寒さのピークを迎える1月2月、まだまだ感染症には注意が必要です。タンパク質と脂質、そしてビタミンとミネラルを十分にチャージして、身体の抵抗力を高めて冬を乗り切ってください。

Topics 2024年2月号PDF