統合療法に関する国内最大級のイベントが今年もやってきます。30回の節目を迎える今回は、11月9日(土)・10日(日)の2日間。がん治療はもとより、アレルギーや精神疾患、糖尿病などさまざまな病気に対する効果的な治療法、予防法が学べます。イベントを主催するNPO法人がんコントロール協会の歩みとともに統合療法の考え方の一端について紹介しましょう。
がんには、「糖質をエサにして増殖する」「正常細胞と比べて熱に弱い」といった多くの特性があります。こうしたがんの性質を活かし、副作用を抑えながら体の機能回復を図るのが、栄養療法や温熱療法といった補完・代替療法です。これらの療法を従来の西洋医学と組み合わせることで、より安全かつ効果的な治療を提供するのが統合療法のアプローチです。
例えば、統合療法が世界的に進んでいるメキシコ・ティファナのクリニックでは、アメリカの平均で20%とされるステージ4の乳がんの5年生存率が、統合療法に取り組むことで75%という驚異的な結果を示しています。また、統合療法は単に症状を緩和する「対症療法」にとどまらず、病気の原因そのものにアプローチする「原因療法」を同時に行うことで、転移や再発のリスクを防ぎ、健康な身体を維持する「予防医学」としての効果も期待されています。
近年、日本国内でも統合療法を実践するクリニックが増え始めており、がん治療の選択肢として徐々に認知されつつあります。これらのクリニックでは、栄養管理や免疫強化、心理的ケアに加え、ホリスティックな視点から患者の生活全般を見直すことで、がんの治療で高い成果を上げているのです。
11月9日(土)と10日(日)の2日間にわたり、日本全国の統合療法を専門とする医師や専門家が一堂に集まる「統合療法コンベンション」が開催されます。今年で30回目を迎える今回は、がんの統合療法として広く知られる栄養療法や温熱療法、ホルミシス療法をはじめ、最新の医療技術についても紹介されます。そして、今回の開催をもって、長年にわたり続けられてきた2日間のコンベンションは最後となる予定です。
また、がん治療のみならず、アレルギーや精神疾患、糖尿病などの現代病に対する統合療法、コロナウイルスおよびワクチン後遺症への対応、さらには食や環境問題といった幅広い健康トピックも取り上げられます。治療の選択肢を増やしたいと考える患者はもちろん、医療従事者やヘルスコーチ、最新の予防医学に興味のある方々にとっても、貴重な学びの場となるでしょう。
統合療法のさらなる普及により、多くの現代病に対しても有効な治療法が提供され、患者にとって新たな希望の光となることが期待されています。すべてのがん患者やその家族が、自分に最適な治療法を選択できるようになるためにも、統合療法についての理解を深め、最新の知見を得ることが、今まさに求められているのです。
現在、がんは年間35万人以上の命を奪う「国民病」と呼ばれるまでになっています。かつて主な死因の上位を占めた肺炎や結核などの感染症は、戦後の食事や生活スタイルの変化によって影を潜め、代わりにがんや脳血管疾患などの生活習慣病が急増しました。その結果、1981年以降、がんは40年以上にわたり日本人の死因の第1位を占め続けています。
近年では、がんの罹患率も加速しており、2019年に新たにがんと診断された人は約100万人にのぼり、2000年の約53万人と比べて、20年で倍近くに増加しています。(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)
がんは、その発症メカニズムが非常に複雑で、種類や悪性度、進行度などが異なるうえに、転移や再発のリスクも高いため、治療が難しい病とされています。 統合療法の世界的権威であるアントニオ・ヒメネス医学博士によると、日本人はアメリカ人と比較して胃や大腸、食道、肝臓、すい臓といった消化器系のがんにかかりやすく、その死亡率も高いことが分かっています。
このように、生活習慣や食といった環境因子が、がんの種類や進行に大きな影響を与えるため、従来の手術や薬物治療などの対症療法だけでは、がんの根本的な治療や再発の防止には必ずしも繋がっていないのが現状です。
そこで、近年注目されているのが、患者一人ひとりの体質や生活習慣に合わせて、最適な治療法を提案する「統合療法」です。