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Seminer

風邪やウイルス予防のカギは免疫とファイトケミカル!

風邪やウイルス感染が増えるこれからの季節は、免疫力を高めることが大切です。身体の免疫機能は、栄養バランスの取れた食生活や適度な運動、十分な睡眠が基本ですが、近年注目されているのが「ファイトケミカル(植物栄養物質)」の効果です。今回は、身体の抵抗力を決める免疫の働きとファイトケミカルの関係に迫ります!

免疫機能とは何か

免疫機能とは、ウイルスや細菌などの外敵や、体内の異常な細胞(がん細胞など)から自らを守るために備わっている防御システムのことです。免疫機能は主に白血球やリンパ球、抗体などによって構成されており、体内を常にパトロールし、異物が侵入すると素早く対応します。

免疫機能が低下すると、風邪やウイルス性の感染症にかかりやすくなるだけでなく、がんやアレルギー、自己免疫疾患などの発症リスクが高まるとされているため、日常的に免疫力を落とさない生活習慣を心掛けることが重要です。

免疫機能を強化するためには、運動・入浴・ストレッチなどで血液循環を促進したり、ストレス管理や睡眠の質を高めることが大切ですが、食事や栄養摂取に目を向けることも忘れてはいけません。

免疫強化のための栄養素

免疫強化に重要な栄養素は、タンパク質をはじめ、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDなどのビタミン、亜鉛や鉄分などのミネラルです。ビタミンCやビタミンDは免疫システムを調節し、感染症に対する抵抗力を高めることが知られており、亜鉛は白血球の生成を助け、鉄分は赤血球を作り出すために欠かせない栄養素です。

近年の研究では、これらの栄養素に加えて「ファイトケミカル(植物栄養物質)」が、免疫力に大きく貢献することが明らかになってきました。ファイトケミカルは、植物が病害虫や紫外線から自身を守るために生成する成分で、現在確認されているだけで約1万種類以上が存在しています。

これらの成分を人間が取り入れることで、健康における様々な有益性が確認されており、特に免疫機能を強力にサポートすることもわかってきています。

フラボノイドがウイルスを抑制

免疫サポートに効果的なファイトケミカルで有名なのが「フラボノイド」です。フラボノイドは植物の葉や花、果物などに多く含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用、免疫機能を高める働きがあるとされています。

研究によると、特定のフラボノイド(クエルセチン、ケルセチンなど)は、ウイルスの複製を阻害する作用があることが確認されており、インフルエンザを含むウイルス性呼吸器感染症に対する効果が報告されています(※1)。

にんじんやかぼちゃのβカロテン、トマトのリコピンなどの「カロテノイド」も風邪やウイルスの予防に効果的なファイトケミカルの一つです。一部の研究では、免疫が低下している高齢者において、βカロテンの摂取が風邪の発症率を低下させる効果があることが示されています(※2)。

カロテノイドの摂取はほかにも、肺がんの罹患率及び死亡率の低下や2型糖尿病・加齢黄斑変性の発症リスクの減少、認知機能の改善など、健康に対する多くの研究報告があります。

日常での取り入れ方

ファイトケミカルは、緑の濃い野菜や植物、にんじんやトマトなどの緑黄色野菜、豆類、ナッツなどに豊富に含まれています。食品添加物の多い加工食品を避け、できるだけ新鮮で栄養価の高いオーガニック食材を選ぶことも、ファイトケミカルを効率的に摂取するためのポイントとなります。

また、風邪やウイルス感染の予防の観点では、免疫細胞の材料となるタンパク質も忘れずに摂取してください。毎日の食事や栄養補給で、積極的にファイトケミカルを補給し、免疫力が低下しやすい季節を乗り切ってください。

参考文献

(※1)Kaul, T. N., Middleton, E., & Ogra, P. L. (1985). Antiviral effect of flavonoids on human viruses. Journal of Medical Virology, 15(1), 71-79.

(※2)Alexander, M., et al. (1985). Effects of beta-carotene supplementation on respiratory infections in the elderly. European Journal of Clinical Nutrition, 45(9), 439-449.

Topics 2024年12月号PDF