毎日の不調は体からのサイン。そのままにせずに免疫機能を高め、自然治癒力を向上させることが将来の健康のために大切です。
年齢を重ねていくにつれ「若い頃と違って体が重たい・だるい」と感じることも多くなります。その理由のひとつが、年齢と共に人の体に備わっている自然治癒力の働きが低下することです。
自然治癒力とは、神経・ホルモン・免疫という人体の3つのシステムが連携して働くもの。中でも免疫が大きな役割を担っています。この免疫のバランスが崩れてしまうと、体内で慢性的な炎症が起こりやすくなり、その状態が続くことで「生活習慣病」「がん」「自己免疫疾患」「動脈硬化症」「神経変性疾患」といった病気のリスクが高まってしまうのです。
40代から衰え始めるといわれる自然治癒力を高めて健康寿命を延ばすためには「免活」が非常に大切になります。免疫力を向上させるための方法をポイントとともに教えてくれるのは、免疫力のエキスパートである飯沼一茂医師です。
感染症や異物から体を守る免疫には、人が持っている自然免疫と、後から抗体ができる獲得免疫がありますが、これらの免疫は年齢や環境によって増減します。この増減にかかわるのが「心」「栄養」「運動」「睡眠」「体温」の5項目です。
「心」とは主にストレスコントロールです。ストレス過多になると自律神経が乱れ、免疫機能が抑制されるのでストレスを減らすことが大切なのです。「栄養」は、必要な量をバランス良く摂ることで体の正常な機能をサポートしてくれたり、免疫機能を強化して感染症や疾患に対する抵抗力を高めてくれたりします。
そして、「運動」が健康に良いことは知られていますが、単に歩く歩数だけではなく早歩きなど質(強度)によって健康効果が高まることが研究によって明らかになりました。また、質の良い「睡眠」が免疫機能に良い影響を与えることがわかっています。
最後に、免疫系が働きやすい「体温」は36・5〜37度のため、温活は免活にも非常に効果的です。特に重炭酸(重曹)を入れた炭酸泉の入浴は重炭酸イオンの効果で血行が良くなるので、おすすめです。
ストレスによって「心」のゆとりがなくなると起きるのが、自律神経の乱れ。睡眠不足などを招いて免疫活動を弱めてしまうことがあります。ストレスを感じると特にミネラル(特にマグネシウム)が排出されてしまい、栄養摂取が必要です。
体に必要な栄養素には、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどがあります。食事にたんぱく質を1品足すように心がけると、血管や内臓などを健康に保ったり、腸内環境を整えたりすることに役立ちます。
肥満は免疫機能の低下を招き、体内の炎症を引き起こす可能性が高くなります。一方で過激な運動による体への負荷の増加はストレスホルモンのコルチゾールの増加を招くのでNG。適度な運動が体重減少や血流改善に役立ちます。
免疫細胞は睡眠中に活発になり、体内の異物や感染症に対抗する役割を果たします。睡眠を導くホルモン「メラトニン」はセロトニンから作られます。その際に必要な栄養素は肉や魚、大豆製品、乳製品、ナッツ類に多く含まれています。
体温が適切な範囲に保たれていると免疫系も正常に働き、体温が低下すると特に白血球の活動に悪影響を与えます。適切な体温は、酵素反応や免疫応答を正常に保ち、病原体に対する体の防御機能を最適化するのに役立つのです。