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Seminer

妊娠と乳がん。二つの命と向き合った女性の決断。

Doctor's Column2022.1

中部地方に住む30代の女性・Kさんは、2021年6月、二人目の妊娠の際に病院で針生検を受けて一週間後に医師からこう切り出されます。

「胸に大きなしこりがあります。乳がんです」

頭を殴られたような衝撃でした。Kさんは二人目の子どもを妊娠しており、当時5ヶ月。順当なら安定期に入るところです。医師は「(がんは)3.2センチほどの大きさで、リンパ節転移の可能性がある」と告げ、大きな病院ですぐに検診を受けるようにすすめます。

おそらく生きた心地がしなかったでしょう。一人目の子どもは1歳半になったばかり。まだ手がかかる上、二人目の出産と乳がんの二つの試練と向き合うことになったのです。

「このまま病気が進行したら私とお腹の子はどうなってしまうのだろう…」

Kさんは、すぐに義母に相談します。Kさんのお義母さんは医療従事者でした。実はお義母さんの存在が、のちのちKさんの大きな力になるのですが、この時は「頭の中が真っ白になった」と振り返ります。現場でたくさんのがん患者さんを診てきたものの、まさか自分の義娘にふりかかるとは予想もしなかったかもしれません。
「本人には言えませんが、義娘の命に関わる問題ですから状況によって子どもは諦めざるを得ないと思いました。ただ中期中絶するにしても、タイムリミットは22週未満ですから時間がありません。ほんとうに難しい判断であり、決断だったと思います」

義娘の気持ちを、お義母さんはそう代弁します。それから約1ヶ月後、Kさんは大学病院で正式な診断を受けます。その結果、Kさんの病期は「ステージ2b」で、トリプルネガティブという、いわゆる悪性度の高い進行性の乳がんでした。

トリプルネガティブは、乳がん特有のホルモン受容体などがないため、一般的に治療効果が期待できるのは抗がん剤のみに限られていると言われています。そのため治療に難渋するケースが多く、抗がん剤による副作用に苦しむ方が多いとされています。

このまま行けばリンパ節に転移しKさんや子どもの命が危ぶまれた可能性は大いにあります。

しかしKさんは、「産む」ことを決断します。理由は「全身に、がんは転移していない」からでした。なぜ転移がなかったかはわかりません。ただ確定診断が出るまでの約1ヶ月、Kさんはお義母さんの勧めで徹底した食事の見直しと栄養摂取を続けていました。体調もすこぶる良く、そのことと無関係ではないと感じていました。それでもこの段階で決断するのは、極めてリスクが高いと思います。果たしてKさんは無事、出産することができたのでしょうか? 詳細は、次号でお伝えします。

私の栄養スイッチ 2022年1月号PDF