京都府にお住まいの50代の男性夫婦は、今から14年前に4番目の子どもを授かりました。元気に生まれたのですが、2か月ほどして授乳中に耳の下のリンパ腺が腫れていることに母親が気づきます。そういえば、へその緒を切ったあとがじゅくじゅくして治らないなど気になることがありました。
夫婦は慌ててかかりつけ医に相談したところ、大きな病院を紹介されます。その病院で血液検査をして調べた結果、「重症先天性好中球減少症」という深刻な遺伝性の病気ではないかと診断されます。「血液中の好中球がゼロ」で、医師からCRP(炎症反応が起きているときに血液中で上昇するタンパク質の値)が異常に高いことを知らされます。
好中球、すなわち白血球の一つがゼロだと免疫が機能せず、感染症や体に様々な炎症が起きやすくなるといわれています。子どもはすぐに自宅近くの病院に入院し、紹介を受けた病院の医師と連携して原因を探るための精密検査を受けます。結果、骨髄で血液が正常に造られているものの、はっきりした原因はわからないまま、最終的に「骨髄移植」をすすめられます。
父親である男性は、すぐには受け入れられませんでした。移植となると、型が合うドナーが見つかるかわかりませんし、仮に見つかってうまく移植できても、副作用など体に負担がかかるかもしれません。生後まもない子どもに負担を強いるのはあまりに忍びない。
そこで男性は、ボタニック・ラボラトリーの森山先生に相談します。男性は、若い頃からアトピーに悩まされ、知人を介して森山先生が提唱する正常分子栄養学と出会いました。そこで医療や薬だけに頼らない栄養の大切さを聞き、食事やサプリメントに気を配るようになったといいます。以来、森山先生の講演があるたびに出かけていき、家族のことを含めて相談する関係になっていました。
男性は栄養療法を行うことを決意しますが赤ちゃんに直接、栄養補給はできません。男性は妻と相談し、ビタミンE、ミネラルなどを多く摂取し、母乳から子どもに栄養補給するようにしたのです。
当時はボタラボグリーンやキャロット、植物ミネラルなどの製品がまだなく、サプリメントで補給しました。その結果、1ヶ月後のCRPは、栄養補給前は10~15だったのが、5~7にまで下がったのです。医師は驚きを示し、男性は「栄養の力では…」と感じはじめます。
しかしこの病気は簡単ではありませんでした。この後、家族の闘いは、10年以上も続くことになるのです。(つづく)