がん治療に食事や栄養摂取が必要なことはわかっていても、長年の食習慣を変えることは簡単ではありません。女性は、ほぼ1年かけてがんを発見当初の半分に縮小したにもかかわらず、その後の経過で元の状態に少しずつ戻ってしまっていました。話を聞くと、お菓子やパンは食べないようにしていたものの、ごはん(白米)や炭水化物は食べていたそうです。
精製された小麦粉や白米などの糖質は、がんの格好のエサと言われています。ほんの少しの量でも、がん細胞はすぐさま糖質を取り込みます。この女性のように、抗がん剤や放射線などの標準治療を受けずに、状態の改善をめざすなら、躊躇なく食事療法を徹底しなければ思ったような成果は望めません。女性は、再度6ヶ月間の栄養摂取を再開しました。
白米を含め糖質は徹底的に制限し、新たに「ファイトケミカルスープ」を摂り始めました。ファイトケミカルとは、野菜や果物など植物性の食品に多く含まれる栄養物質のことで、抗酸化作用や免疫力を引き上げるのに有効とされています。スープに使う野菜の種類としては大根、れんこん、玉ねぎ、にんじん、エノキダケなど。これらの野菜を細かく切って低温で30分ほど煮込んだスープを毎日摂るようにしました。加えて、ブルーベリーやブロッコリー、ごまなど抗炎症作用のある食品を多く摂り、油の種類をサラダ油からオリーブオイルに変えました。(現在はココナッツオイルを摂取しています。)
このように食事を変え、女性の意識も徐々に変わっていきました。この間、栄養だけでなく、午前中30分、午後30分、日光にあたるようにしました。 さらにアロマテラピーを受けるなど、メンタルケアにも取り組みました。食事を変えるだけでなく、慢性的に抱えていたストレスや疾患に伴うストレスを専門家に相談し、緩和できたことも大きなプラスになったようです。
結果、半年後の検査では、がんは発見時の20%にまで縮小しました。女性は、すぐにコンパクトな乳房温存手術で腫瘍を切除。その後は、1ヶ月に1~2回のペースで高濃度ビタミンC点滴を受け、栄養療法や食事制限も欠かすことなく続けます。 それから1年後、再発はないとのこと。また、がん発見当初と比べて体重も減り健康的な体型になりました。この女性は、まさに栄養や食事の見直しを中心とした統合療法で成果を上げたと言えるでしょう。
がんや疾患の進行具合にもよりますが、ステージの進んだがんの場合は、徹底した栄養補給を実践することが治癒への一歩になるかもしれません。