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Seminer

4ヶ月で、糖尿病の危険水域から脱した女性の栄養改善法とは?

Doctor's Column2020.4

HbA1cの数値に「驚き」

首都圏に住む60代の女性は、2019年の某月、その女性は高血圧、高脂血症で、頻尿、喉が乾くなどの症状で病院に行きました。すぐに採血し、糖尿病の指標となる「HbA1c」の値を調べると、一年前は6.1%だったのに14.2%にもなっていました。
HbA1cは、最近はテレビなどでも紹介されますのでご存知の人も多いと思います。血液中のブドウ糖が、ヘモグロビンと結合すると糖化ヘモグロビンになりますが、その割合を示すもので、一般的に血糖値が高い人ほど数値が高くなります。
糖尿病は、症状の有無、血糖値、HbA1cの値を総合的にみて判断しますが、HbA1cの国際的な基準値は「6.5%」以上となっています。日本でもその数値を超えると糖尿病と診断され、数値がさらに大きい場合は医師から教育入院を進められ、徹底した食事制限や治療が行われるのが普通です。
この女性は、HbA1cが14.2、血糖値382、症状から見ても明らかに糖尿病であり、通常であれば教育入院して、医師による食事指導や徹底した治療が必要な状態でした。

食事の足し算、引き算

本人によると体重は1年前と比べて3キロ程度増えたようですが、急に太った実感はなかったようです。ただ、食事が極端に「糖質」に偏っていました。1日3回の食事に加えて、毎日アイスクリームを1個食べる。昼食は、常に菓子パンかうどんがメインで、1日2~3回は、水で溶かして飲む甘いジュースを口にしていたことがわかりました。
1年前までそんな食生活ではなく、実際にHbA1cの値も低いことから、おそらく何かがきっかけで「甘いもの」にハマってしまったのでしょう。
女性は医師の指導でインシュリンの出を促進するアマリールという薬を少量(2mg)摂ると共に、食事の足し算、引き算を徹底し、朝晩の食事の量を半分以下にするなど、糖質の摂取量を減らすことにしました。

正しい栄養で薬いらずの体をめざす

正常分子栄養学に基づいて、糖質は極力取らないようにし、肉や魚などのタンパク質と良質の油、ビタミンやミネラルが豊富な生野菜、とくに葉物類を増やしました。あとは腸内環境を整え、免疫力をあげるために納豆などの発酵食、キノコ類など繊維質のものを摂るようにしました。
食事と栄養の見直し。大きくはその二つを実践しただけですが、1ヶ月後のHbA1cは、12.0、血糖値は200近くに下がりました。2ヶ月後、3ヶ月後も数値は下がり続け、4ヶ月後にはHbA1cの値が、7.3%と半分近くにまで下げることができたのです。この女性は、幸いに糖尿病の合併症はまだ現れていなかったことから、食事療法と負担にならない程度の軽い散歩を続けることにしました。それだけでかなりの改善がみられました。
今後も栄養療法を続け、HbA1cは「6.5」以下、最終的には薬を飲まなくていい状態に持っていくことをめざしています。

私の栄養スイッチ 2020年4月号PDF