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Seminer

食べ物も、飲み物も摂れない高齢の母親が口にしたものは?

埼玉県に住む60代の男性は、2022年8月のある日、母親が入居している施設から突然、電話を受けました。「あのう、実はお母様の健康状態が思わしくありません。クリニックの先生に診てはいただいたのですが、食べ物も、飲み物も受けつけられないのです。ご家族にお知らせした方がいいかと思いまして…」

会社経営をしている男性は、仕事を途中で切り上げ、急いで現場に駆けつけます。母親は95歳で、4年ほど前に施設に入居しました。男性によると「認知機能に多少の不安はありますが、基礎疾患もなくそれまでは普通に元気にしていた」そうです。

しかしコロナ禍が、様相を一変させてしまいます。家族が面会に行ってもガラス越しに顔を合わせ、短い会話を交わすだけ。そんな日々が3年近くも続くと、さすがに気持ちは塞ぎがちになります。それでも仕事の合間を縫って、男性は「週に一度は母親の様子を見に通っていた」といいます。 

しかし施設に到着しても、コロナ禍の折、すぐに面会はできません。係の人に詳細を聞くと「ここ数日はずっと寝たきりで、食べ物も飲み物もあまり摂らない、栄養は点滴で補給している」状態でした。担当医師からは「このまま何も食べない、飲まない状態が続くと、一週間はもたないかもしれない」と告げられたそうです。

 男性は覚悟をしました。医学的な延命治療は難しいし、面会も自由にできない。最後に「なんとか様子を見させてほしい」と懇願します。結果、特別の計らいで“看取り”介護として、外階段から母親との面会が許されます。そこには、点滴の管が連なり、瞼を閉じて体を横たえた、やせ細った母の姿がありました。

男性が必死に声をかけると「微かに手が動いた」といいます。男性は、最後の望みとして施設の人にこう申し入れをします。「口にしないかもしれませんが、最後に母親に飲ませてやりたいものがあります。その時間だけ面会を許可していただけないでしょうか?」 それは、ボタラボグリーンでした。施設の人たちは「水さえ飲まれないのに大丈夫かしら?」と訝りながらも、男性の要望を聞き入れてくれました。

男性は施設の帰り道、すぐにボタニック・ラボラトリーに連絡を入れ、仲の良いスタッフに、グリーンを飲ませたい旨、告げます。そして翌日、母親の元を訪れると、寝床の水さしで、ほんの少しずつ口元を潤すように飲ませていきました。

「なんとか飲んでくれ…」 男性は祈るような気持ちでした。しばらくすると、その願いが通じたのか、グリーンは母親の喉を通っていきました。たった100CCを飲ませるのに1時間15分もの時間がかかりました。しかし、その日から母親の様子は少しずつ変わっていったのです。一体どんな風に変わったか?

詳細は次号でお伝えしましょう。(つづく)

私の栄養スイッチ 2023年2月号PDF